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道の交わる時

第5章 旅立ち


「主?あのさ、話があるんだけど」
朝ごはんを食べて自室に戻ったところで、加州が来た。
「何?今日の馬当番は外さないよ?」
「いや、そっちじゃなくて」
言い淀んだ加州にが首をかしげると、覚悟を決めたのか、加州が言った。
「修行に行きたい」
「そっか。行ってらっしゃい」
「うん、ダメだよね...ってえぇ?」
の言葉に加州は驚いた。
「修行でしょう?もうそろそろ言ってくるかな、って思ってたから。いいよ」
「...いいの?」
「うん、でも早く戻って来てほしいかな。やっぱ、清光がいないと寂しいもん」
そういってはにかむを見た加州は言った。
「そんじゃあ、サクッと行って、サクッと帰ってくるよ」


その日の晩、加州は修行へと旅立った。
を始め、多くの刀剣が見送った。
「寂しいか、主」
三日月が言った。
「主さま、お寂しいのですか?」
「大丈夫だよ主さま!ボク達がいるからさ!」
「加州さんがいないこと忘れるくらい楽しくさせますよ!」
「ぼ、ボクも頑張ります」
「そうそう、あんなやつなんか忘れちゃいなよ」
上から、平野、乱、鯰尾、五虎退、大和守が、言った。
「いや、寂しいわけじゃないから大丈夫だよ.?」
が言うものの、聞こえていないようだった。

「こいつら聞いてねぇな」
「すみません、主様」
薬研が呆れ、一期一振が言った。
「大丈夫。ていうか、みんな何する気なんだろう...」
先程の五人に加えて、鶴丸が輪になって何かを話し合っている。
「お任せください主様。この長谷部が必ずや阻止いたしますので」
「うーん、危ない事はしないようにね?」
張り切る長谷部に念押ししていると、蛍丸がの腰あたりに抱きついて来た。
「大丈夫だよ、俺はずっといるからさ」
「うん、ありがとう、蛍丸」
「あ、蛍丸ずるい!俺も大将の懐入りたい!」
そういって信濃が抱きついてきた。
「信濃、苦しい」
蛍丸が呻いた。
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