第6章 監禁
「君と親しかった友人は、全て、殺しておいたから」
え? 今……な、んて……? ころ、した? だれを?
「君がここから出たがっているから、会いたい人がいるって、家に帰りたい、て言うから。殺したよ。ここから出る理由なんて、要らないでしょう?」
いつかは起こるかもしれない、と思ってはいたが、こんなに早いとは思っては居なかった。脳裏に浮かぶ友人たちの顔。両親。同僚。
目の前が真っ白になった。
「あぁ……その絶望した顔も、無意識に流れてる涙も……全て、私のものだ。素敵だよ、奏。ねぇ、分かった? 私のものにならないなら、なんでもするよ? 私のものになってくれる為ならなんだってする」
「いや……やだ……もぅ、ゆ、る……し、て……ごめんな、さい、ごめん、なさい……」
「その気持ちを忘れてはいけないよ? でないと、今の嘘を本当にしてしまうからね?」
どこまでが嘘で、どこからが本当で、何が真実なのか……。もう、私には、わからない。無事を知る手段も無い。無事だと信じることしか出来ない。いや、もう、忘れないといけない。全て忘れなければ、本当に、全てがなくなるだろう。今は、全てが嘘であってほしい、と願うしかない。そして、忘れなければならない。
……逃げ道など、存在しない……