第6章 監禁
「……君が、他の男に近付くのも、他の男が君を見るのも、触れるのも許さない。許さない。そんなのは駄目だよ。君は私だけのものだ。君を泣かせていいのも、笑わせていいのも、怒らせていいのも、愛していいのも、好きになっていいのも、喜ばせていいのも、全ての感情、体液、君を構成している遺伝子や分子に至るまで、全て私だけのものだ。全て私だけにくれないのなら、閉じ込めて閉じ込めて閉じ込めて……壊して壊して壊して壊して壊して壊して……それでも、私のものになってくれないなら、殺すしかないけれど、死んで欲しくないんだよ? だから、こうして、手に入れた……鳥かごの中へ入れたんだ……」
狂ってる。殺す、というのもハッタリではないだろう。私を殺し、自分も殺す。そうすることで、魂すらも欲するのだろう。何が彼をそこまでさせるのか、私には分からない。ほぼ毎日体を重ねているが、男性の名前すら知らない。知りたいとも思えない。ただ、激しく抵抗したり、拒絶すれば暴力を振るう。それだけは、体が覚えてしまった。
「ああ、そうだ。言ってなかったね」
ふと、雰囲気が明るくなり、子供の様に無邪気な笑顔を向けられる。だが、目だけは笑っていない。