第5章 不良
「大丈夫、大丈夫だよ」
泣きそうな声で、震えた体で、喋るから。安心させたくて。顔は、見られたくないだろうから、頭を抱きしめて、背中をポンポンと叩く。安心してほしくて。
「もう、大丈夫だよ」
「なわけ……ない……」
「綺麗にしてくれたから」
「違うんだよ……俺、お前の姿見て……興奮しちゃったことが……一番……」
「ほんと!?」
心から嬉しかった。そっか、そっか。そうなんだ。
「私たち、両思いだったんだね! 私の裸で興奮できたんだね!」
「っ! お前、それ……なんか、違くないか……?」
そうやって弱弱しく笑うから、また、抱きしめた。汚されたけど、それで、綺麗にしてもらえたし、触ってもらえたから、前を向こう。私が落ち込んだら、傷つけてしまうから。笑おう。良かったって。思おう。これで良かったんだよ。気持ちが知れたから、嬉しいから。そう、思って。笑い続けよう。前を向いて、胸を張ろう。それで、笑ってくれるなら、いくらでも、強がろう。前を向こう。
「……ああ。お前が、奏が、ずっと好きだったよ。ずっと、一緒に居てほしい」
「うん」
どちらからか分からないけれど、唇が重なった。今まで我慢してきた思い全部、伝わればいい。この胸の鼓動も、全部。そして、伝わってきてほしい。知りたい、もっともっと。
口付けはどんどん深くなり、私は、シャツを脱がされながら押し倒された。角度を変えながら、唾液すら、一滴残らず食べられてしまうんじゃないか、と錯覚しそうなくらい、激しく。優しく。
綺麗にしてもらったのに、また濡れてしまったソコを優しく撫でられる。
「あぁ……あっ!」
「痛い?」
「ううん、気持ちいいよ」
「よかった」
指が中に入り、ほぐすように動かされる。指が増やされ、中で、別の意思を持っているかのようにバラバラに動く。その一挙一動に、喘ぎ声が堪らなく零れる。
信也が、もぞもぞと体を下へと移動させ、ザラザラした感触が、敏感な所に当たった。
「ひゃっ! あ、だめ、汚いから!」
「汚くないよ。綺麗」
「あああっ! あっあっ! だ、だめ、いっちゃうよぉお!」
「いいよ」
「ふああああああっ!」
敏感な部分を、歯で優しく擦られ、我慢できずに果てた。こんなに気持ちいいなんて、思わなかった。目の前がチカチカと火花が散るような感覚が続く。