第5章 不良
「っ……!!」
「そうだ、どの顔が見たかったよ……あの時は、お前さんのせいで、俺らの小遣いなくなったからなぁ!」
「そうだった、なぁあっ!!」
骨が折れるような音や、肉がぶつかる音が鳴り響く。
「っ! お前さん……まさか……」
「つい数年前まで格闘技は、みっちりやったからな。両親には、感謝しきれねぇよ」
こんな口調で怒ってる信也は、始めてだ。私の知らない顔。見れてるわけじゃないけど、こんな一面があるって、知れて嬉しい。そうだった。信也のご両親が、私を心配してくれていて、信也に、色々な格闘技を習わせてくれていた。亡くなってから、それらもやめてしまったけれど、信也は、いつも傍で、守ってくれていたんだ。
「信也来てくれて、あり、がとう……」
安心して、嬉しくて、意識がなくなった。