第1章 躾
首を左右に振り嫌がる。
それを分かってくれたのか、葛城はベッドから降りた。
それにともないゆっくりと起き上がる。
「さ、紅茶が冷めてしまいます。奏お嬢様、頂きましょう」
葛城は紅茶を口に含むとベッドに戻ってくる。
逃げようとしている奏を抱き寄せ、顎を掴む。
上を向かせハンカチを取る。
唇が重なった。
「んっ!! んんー!!」
熱い紅茶が喉を通る。
口の端から紅茶が垂れた。
葛城は唇を離し、それを舐めとる。
再度ハンカチを咥えさせサンドウィッチと紅茶を持ってきた荷台の下からスーツケースを取り出す。
それをベッドに置く。
「そろそろ、か」
懐中時計で時間を確認した葛城が呟く。
今まで聞いたことのない低音ボイスに一瞬背筋が凍る。
そして、それは来た。