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【短編集】ブーゲンビリア【R18】

第4章 ポーカー


 整理した書類を、机の上に置き、処理が終わった書類を、バインダーに挟んでいく。こんな事務処理も、何だか慣れてしまった。気が付けば、一週間も秘書として、主任室で、主任と二人で仕事をこなしている。主任がしてほしい事も、少しなら、言われなくても出来るようになったつもりだ。それが、私の役目であり、仕事だ。先頭に立つより、誰かをサポートする方が、性に合う。
 でも、主任とは、仕事を一緒にするだけの人で、ただの客で……。

「奏」
「! ……んっ!? んあ……」

 名前を呼ばれて振り向いた瞬間――
 私の唇に柔らかくて、熱くて、何だかマシュマロの様な感触の物が押し付けられていた。それが主任の唇だと認識した時には、歯列が舌で擦られ、くすぐったさに口を開き、舌を受け入れていて……何が、どうして、こうなった……?

「ふぁ……ん……んん……」

 頭が溶けてしまいそう。真っ白になっていく。
 舌が混ざり合い、唾液が混ざり合い、どちらの物か分からない唾が喉を鳴らす。熱くて、柔らかくて、ざらざらしている舌。それが、私の口の中を、暴れている。口の端から唾液が漏れ、顎を伝う。貪るように、激しい。歯が当たり、カチカチ音が鳴る。溶け合っていく。混ざっていく。それでも、足りなくて、何度も、何度も、顔の角度を変え、さらに深く、奥まで。
 気づけば背中に書類棚が当たり、股の間には、太くてやや筋肉質な太ももが入り込んでいる。
 こんなの知らない。こんな感覚知らない。
 足の力が抜け、腰から崩れそうになった時、唇が離れ、体をきつく抱きしめられていた。
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