第3章 ひと時
「歩けるか? 桐生」
気遣うような葛城の声に頷き、ふらつきながら歩く。
改札を出るまで葛城が支えてくれた。
頭がぼーっとして、すごく眠い。
なんか、目が開けないし、息も整わないよ。
気持ち良かったから?
それとも……イキすぎたから?
どっちにしろ、私、電車の中であんなにしちゃったんだ。
「悪い。電車の中だけにしようと思ったが、無理。ちょっと来い」
「え……あっ……」
私は手を引っ張られて物陰に連れられた。
にぎわう駅の物陰。
ここはいつも不良高校生たちがタバコを吸うために利用してるいわば穴場みたいな所だ。
よく吸ってる姿を横目で見てた。
「エロい顔だな」
顎をくいっと持ち上げられてそのまま口づけられた。
力の入らない私はされるがままに葛城の舌を受け入れる。
舌が絡まってピチャピチャと音が聞こえた。
「んっ……あ……あん」
「キスだけで感じるのか。思ってたよりエロいわお前。想像以上」
葛城が私から離れると、力が入らない私はそのままストン、と崩れる様に座った。