第3章 ひと時
「無視は傷付くなぁ」
携帯が手から盗られた。
気付けば5人ぐらいの身長が高い人たちに囲まれている。
えっ、何? ナンパ相手私!?
「携帯……返してっください!」
小柄な私にはジャンプしても届かない位置に携帯を翳される。
電車内だから危ないけど、意を決して跳ぶけど、やっぱり届かない。
2、3回繰り返した時、バランスを崩した。
「あっ」
こける、と思ったら誰かが私を受け止めてくれた。
いや、捕まったの方が正しい。
私を囲んでいた一人に腰をがっちりと持たれている。
どうしよう、逃げられない。
「怖いの? 大丈夫、優しくするから」
「ひっ!」
首筋をゆっくりと舌が這わされる。
その舌はゆっくりとあがり耳の中へと入った。
耳の中がめちゃくちゃにされているのがすごく恥ずかしい。
声がでちゃいそう……。
誰か、助けて……。