第3章 ひと時
手がスカートの中に入ってくる。
その時、いきなり電車が揺れて私はバランスを崩した。
やばい倒れる!
あ、あれ……?
倒れてない。
背中に温もりを感じて、ゆっくり振り返る。
「あ……葛城……?」
「久しぶり」
そこにいたのは、中学時代の不登校仲間の葛城信也だった。
実は同じ高校に行かないか、と誘われた事もある。
結局は別々の高校に進学したけど……。
葛城なら、痴漢から助けてくれるかも!
「あ、あのね葛城。お願いがあるんだけど」
「ん? どうした」
「ち、ちか……痴漢に……」
「何されたんだよ」
「えっと……触られたの……」
「どこを?」
ど、どうしたんだろう……なんか、おかしいよ。
なんでそんな事聞くの。