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【短編集】ブーゲンビリア【R18】

第1章 躾


「お疲れ様でしたお嬢様」
「……」
「お嬢様?」
「え、あっ……あ、えっと……い! いつ、も、あ、りがとう……」

呼ばれたことに気付かなかった奏は、しどろもどろに言った。
それを見た葛城は何かを悟ったのか、目を細める。
屋敷へ帰る途中、車内は重い空気が漂っていた。
葛城は無言で奏を見つめている。
その視線に、奏は気付かない。

やがて屋敷へと辿りつくが、部屋に入るまで二人は無言だった。

部屋に入るなり、誰も入れるな、と葛城に言いドアの鍵を閉める。

奏。性格、負けず嫌い。

鞄からテストと教科書ノートを取り出し机に向かう。
公式の間違えた点を洗い出し、テストの答え合わせ。
間違えた問題を最初からやり直す。
ノートに正しい公式を10回書く。
間違えた問題も10回解きなおす。

次に、教科書に載っている問題を適当に選び回答する。
これを30問。

気付けば2時間経っていた。
思えば、昼食も食べ忘れていた事に気付く。
何か食べようと立ちあがった瞬間。
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