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【短編集】ブーゲンビリア【R18】

第1章 躾


「奏様! あのお綺麗な殿方は新しい執事様ですの?」
「ええ。葛城ですわ」
「まあ! 葛城様とおっしゃるのですね!」

元ジャニーズなだけあって、女性陣の目を引く執事の葛城。
質問に最低限の事だけ答え自分の席へ座る。
窓側の最後尾。
父親である社長のコネを使い、この場所を陣取っている。
使える物は使う、というのが彼女の流儀。

のんびりと窓の外を眺めながら、現在攻略中のゲームを頭に浮かべる。
そうしているうちにチャイムが鳴った。

「はい! 今から中間テストをお返し致します」

教室がざわつく。
ゲームに熱中している奏だが、成績は学年首位。
今回のテストも難無くこなした……つもりでいた。

「桐生様」

数学のテストで、彼女は人生初の赤点を取ったのだ。


その日の授業は全く耳に入ってこなかった。
一問12.5点の8問。
どうやら公式を1カ所覚え間違いしていたらしい。
8問中5問正解。

(ど、どーしよ……お父様の耳に入ったら、大変な事になる……!
 ゲームの取り上げ所じゃない! 部屋から1歩も出してもらえない!
 しかも数学って言ったらゲーム制作にも関わる教科!
 だめだ、死んじゃう……死んじゃうぅううううっ)


「せ、先生! 大変ですわ! 奏様の頭からお湯気が!」
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