第2章 罠
「……」
信也が背を向けた。
もう、勢いで言ってしまおう。
滅多に見れない信也の表情と行動に笑みがこぼれた。
いつも好きに弄ばれたのだ。
いうなればこれは仕返し。
そして、奏は人生初の言葉を投げかけた。
「私は好きだよ」
信也と目があった。
「私、信也の事大好き……だよ」
急に恥ずかしさがこみあげてきたので、お湯の中に顔を半分隠した。
すると突然体を持ち上げられ力強く抱きしめられる。
この腕の中がどんな場所よりも落ち着く。
仄かに信也の香りが漂った。
「お前……なぁ……」
どこか嬉しそうで恥ずかしそうな声が聞こえてくる。
「俺の計画を狂わせやがって」
そして奪うように唇が重ねられた。
舌が絡まりあう。