第1章 躾
高級な屋敷が立ち並ぶ都内某所。
その一角に、昭和初期から続く大手ゲーム会社の創業者宅がある。
現在は3代目社長の屋敷。
桐生奏は、そこに住むゲームを愛する一人娘。
一番好きなのは乙女ゲームと言われる、恋愛シュミレーション。
携帯用アプリから始まり、3DSやVita等、暇さえあれば何かしらやっている。
彼女が企画立案した大ヒット作は数知れず。
高校生でありながら、将来有望として見合いの話が絶えない才色兼備。
ただし、本人は二次元の異性にしか興味がないため、現社長の頭を悩ませている。
そんな彼女の元に1人の専属執事が屋敷へとやってきた。
高身長、整った顔立ち、黒縁眼鏡。
ジャニーズ事務所に所属ていた経歴がある彼は、スポーツ万能で頭脳明晰でもある。
もちろん、二次元にしか興味がない彼女は全く持って興味がない。
その日……
いつものように学校へと出かけた奏。
車での登校中もゲームをする手は止まらない。
「お嬢様、到着致しました」
「ありがとう。葛城」
いつものようにお礼を述べ教室へと向かう。