第10章 雨上がり
「……なんで……ホテル……?」
ホテルの中だった。しかも、ラブホテル。流石に、酔いも覚めてきた。流石に、マズイと思い、踵を返した瞬間、抱きしめられ、お姫様抱っこをされた。抗議しようとした瞬間、ベッドへと落とされ、そのままキスをされた。
「ん……」
触れるだけの優しいキス。好きな人がいるんじゃないの? 駄目だよ、こんなの。止めなきゃ、て思うのに、流されたいと思う私も居て。ぐしゃぐしゃで。訳が分からなくて。どうしたらいいのかも分からなくて。
そのまま、角度を変えながら何回かキスをする。唾液が混ざり合う。わざとたてられるリップ音が厭らしい。スーツのジャケットがスルッと落とされ、シャツのボタンが一つずつ丁寧に外されていく。止めなきゃ。止めないで。壊して。壊さないで。流されちゃ駄目。流されたい。
胸を優しく揉まれ、声が漏れる。気持ちいい。こんなの、いつぶりだろう……。覚えてないくらい、していない。
「着痩せするんだ。思ったより大きい」
「あ……んっ……」
乳首を舐められ、頭がボーッとする。これは、お酒のせい? それとも、私のせい? 彼のせい? 誰のせい?
優しくされたら、流されてしまう。このまま、貴方の手で、壊されたくなる。駄目だよ。彼には、好きな人がいるのに。
それでも、止めないのは、私が弱いからだ。
乳首を口に含み、甘く噛んだり、吸われる。
「ふぁっ……ああ……ん」
「きもち、いいの? 蕩けた顔してるよ、奏。可愛い」
再びキスをされる。