第10章 雨上がり
「も、だめだよ……葛城君は、好きな人いるんでしょ? 私の、慰めとか、しちゃ、だめだよ。もう、いいから……やめて……これ以上……貴方を汚したくない……」
そうだ、もう、これ以上、私が彼を汚しちゃいけない。我慢しなくちゃ。私が、耐えなきゃ。寂しくても、辛くても、どうにか耐えなきゃ。巻き込んじゃいけない。
私が泣くから、彼は、私を抱きしめてくれた。頭を優しく撫でてくれる。そんなに、優しくしないで。もっと、もっと、涙が止まらなくなる。勘違いしてしまう。巻き込んでしまう。流されてしまう。汚してしまう。
それでも、彼は、私を抱きしめる。優しく、慈しむように。
「奏。こんな時に、弱ってる時に、言いたくないんだけど、俺、入社してからずっと、奏だけを見てたよ。付き合ってる彼氏の事、嬉しそうに、楽しそうに話す奏に、別れればいいのに、てずっと思ってた。そしたら、俺が、隣に居れるのに、て」
安心されるように、頭を撫でる。
「俺、奏の事、ずっと好きだったから、今、こうしてて、幸せなんだ。だから、流されて欲しい……今日だけでもいいから、俺の物になってほしい……利用していいから。抱かせて欲しい」
「っ! う……ん……うんっ!」
優しく触れるだけのキスをされ、涙を舌で掬われた。葛城を強く抱きしめる。
再び胸を揉みだし、乳首を噛んだり吸ったりする。奏の体がその度に、軽く跳ねた。
「あっ……ああ……も、やぁあ」
「嫌じゃないでしょ?」
「っ……もっと……きもちくして……」
「わかった」
触れるだけのキスをする。頭を撫でられると、気持ちが安らぐ。スカートを下ろされ、下着姿にされ、下着の中に手が入れられる。厭らしい水音をたてながら、周囲を確かめるように撫でられる。それだけで、奏の顔が赤く染まっていく。