第6章 私の初任務とあの人の存在
それは確実に変質者だった。私はゾッとしながらそれを見つめていた。ベタベタとした手が顔を触った瞬間、とてつもなく嫌な気分になったが、我慢した。スタンガンを食らわすために。男はスタンガンに体制のある体のようで、まだ動けるようだった。男は貼り付けた笑顔を私に向けた。
「………駄目じゃないか。こんな危ないものを向けて。……少しお仕置きが必要かな」
………さて、どうしよう?銃を使う?でも、サイレンサー付きでない銃なんか打ったら、それこそ人に気づかれてしまうし……。とりあえず、私はその場から逃げようと後ろを向いた。その時だった。
「ぐっ!?!? がっ!?!?」
男のうめき声が聞こえたかと思うと、振り返った私が見たのは人一人いない公園だった。それから、私が再び男の姿を見ることは無かった。まるで最初から男などいなかったというように、公園内は元の静けさに戻っていた。
「………?? 逃げたのかな?」
だが、先程男は私を仕置きするとやる気満々だった。逃げてないならなんだろう?
「…………ま、いっか!」
面倒なことをしなくてよくなったのだ。逃げ回って疲れたし、ここはこの状況に甘えさせてもらおう。