第6章 私の初任務とあの人の存在
~別side~
「七種なずながいなくなった」
何の用だ…そう言われる前に、僕は彼にそう告げ、無理やり部屋の中に入り込んだ。
「………昨日のガキがか?」
いつもの無愛想な面を少し崩し、ライは僕にそう尋ねた。
「…ええ。彼女の居場所に心当たりはありませんか?」
「俺が知るわけないだろ」
そう言って、僕を追い出そうとするライの腕を掴んだ。
「ライ。あなた本当にあの子と何の関係もないんですか?」
「…何が言いたい?」
ホォー、とぼける気ですか。だったら、お望み通り追い詰めてやりますよ。
「あなた、あの子に会わないようにしてますよね? そのくせ、あの子のことがほっとけないようで。そのくらい、見てれば誰でもわかりますよ」
「お前の考え違いだ。なんだ、俺があの子の父親とでも言いたいのか?」
ハッと鼻で笑うライ。僕は彼の腕を掴む力を強めた。
「あの子の昨日の様子、見ましたか? あの子、あなたの煙草の匂いであそこまで動揺してたんですよ?」
「だからなんだ。煙草くらいお前もスコッチも吸うだろ。それくらいのことでいちいち動揺してたら、すぐに死ぬぞ」
気づけば、俺は彼の胸元を掴み壁に押し付けていた。自分でも驚くほど低い声が出る。
「ふざけるな!あの子は、いつも誰かの影を探してた。あんな小さい子がこの組織に身を置いている理由を考えたことがあるのか!! 」
「………俺には関係ない」
俺は思わず彼の頬を殴った。鈍い音が部屋に響き渡り、彼の口からは血が流れた。
「お前があの子に向けた表情を見て、少し見直したんだ。あの子があんなに安心した表情をしたのは、あれ以来なかったから…」
「……言いたいことはそれだけか?」
今度は僕が壁に叩きつけられる番だった。あまりの強さに息が詰まる。ライの顔が近づき、あまりの鋭い眼光に僕は彼を睨みつける。
「ここはお遊びなんかじゃねぇ。母親ごっこがしてぇだけなら他所でやれ」
「………あなたに聞きに来たのが間違いでした」
僕は彼の横を通り過ぎ、部屋を出た。何故か分からないが、かなり悔しかった。