第6章 私の初任務とあの人の存在
~別side~
「なずながいなくなった?」
目の前で頭を抱えるウォッカに、僕はそう問いかけた。ウォッカはこくりと頷く。
「…アニキの部屋にもいなかったし、どこを探してもいやしねぇ…。お前、何か心当たりねぇか?」
今日は僕の方の任務があり、訓練も休みだと伝えてあった。昨日、部屋から別れた後から、僕は彼女の姿を見ていない。組織から逃げたのだろうか…?しかし、それならまず僕に助けを求めるはずだ。……まさか他に協力者が…?僕の頭に浮かんだのは、無愛想なあいつ。
「……ジンには?」
「……いや。まだアニキには伝えてねぇ。だが、アニキの任務は今日までだ。すぐにバレちまう」
彼にこのことがばれたら、あの子がどうなるかなんて…分かりきったことだ。僕は立ち上がった。
「わかりました。僕の方でも探してみます」
「……助かる」
ウォッカが僕に頭を下げる。僕はそんな彼に笑いかけ、部屋を立ち去った。そして、懐から携帯を取り出す。
「………あぁ、俺だ。至急人を探してほしい。4、5歳くらいの黒髪の少女で、服装は不明。所持金は恐らく少ないか、持っていない。恐らく公園か、無料で入れる建物内にいると思われる。顔写真は今送った。人員を割いてでも探し出せ」
早口でそう伝えると、通話を切る。これで、外はあいつらが探してくれることだろう。
「………確か…あいつは自室にいるんだっけな」
そして、俺は早足でとある部屋へと向かった。