第6章 私の初任務とあの人の存在
「わぁー!!」
ここが学校。これが文化祭か。私は目を輝かせた。
「あんまりうろちょろするんじゃねぇぞ」
おじさんはしっかり私の手を握りながら言った。結局、なんだかんだ言いながらもきちんとした身なりに着替え、私を蘭お姉さんたちがいる文化祭まで連れていってくれる。
「で?お前の保護者は来んのか?」
おじさんは私の保護者が気になるようで、度々その話をした。私は首を振り、困ったように笑う。
「あんまり、こういうところに来たがらない人だから。あっ!でも、ちゃんと連絡は入れておいたよ! 楽しんでおいでって!」
ニコッと笑うと、そうかというおじさん。
「蘭お姉さんたち、どこにいるの??」
「あ?あいつらは確か…………」
どうやらおじさんは地図が読めないようで、ひっくり返したりして、頭を悩ませている。私は背伸びをしてちらりとそれを見た。………今がここだから…蘭お姉さんたちがいるところは……分かった!
「おじさん! こっちじゃない?」
「あっ!おいこら!!」
私は彼の腕を引っ張ると、階段を上って行った。その間にも、美味しそうな物を持ってる人たちや、コスプレをした人達とすれ違い、私の心は高鳴った。蘭お姉さんたちは一体何をしているのだろう。
「おい!ガキ……なずな!!」
名前を呼ばれ、私は初めておじさんに無理な体勢を強いていることに気づいた。それはそうだ。おじさんと私は身長が倍以上違うんだから。
「あ……おじさん……ごめんなさ………わっ!?」
「楽しみなのは分かったから、落ち着け。ほれ、行くぞ。道は分かるんだな」
おじさんは私を抱き上げ、階段を歩きはじめた。私はくすくすと笑った。数年ぶりの抱き抱えられた気分は、少し照れくさかった。