第6章 私の初任務とあの人の存在
「………お前、やけに手慣れてんな」
後ろでおじさんが私に声をかけた。私は頷く。
「私、親がいないから。1人でも生きていけるようにって、教えてくれたの」
だから、料理は大体作れるよと私は言う。これで気まずい雰囲気はなくなるかと思いきや、おじさんはそれ以降黙りこくってしまい、私は彼に料理を出しても、彼はお礼を言うだけで何も言わなかった。………何かしちゃったかな。私は彼の前に座り、お茶を飲む。
「なぁ………」
「なに?」
さらに気まずい雰囲気を感じ、私は無理やり笑顔を作った。おじさんはもぐもぐと蘭さんが作ったご飯を口に入れていた。だが、目はこちらを向いている。おじさんは何かを言いたそうにしているが、その口はモゴモゴと動くばかりで何も発されない。やっと出た言葉は、
「鍵、いつでも開いてんだよな」
だった。私は思わず叫んだ。
「ちゃんと閉めないと、危ないよ!?」
「違ぇよ!」
おじさんは私の言葉に頭をかいた。私は分からず首を傾げる。おじさんはお箸を置き、そして、意を決したように口を開いた。
「……あぁ!くそっ!!つまりだな!ここはいつでも開いてるから…その……いつでも来ていいぞ……ってことだ」
蘭お姉さんと言い、この人と言い…なんでそんな見ず知らずの子供にそのようなことを言ってくれるのだろうか…。私は思わず聞いてしまった。
「……………いいの?」
「だから、いいっつってんだろ!! お前みたいなガキ一人増えたところで変わんねぇよ」
「……ありがとう。おじさん」