第6章 私の初任務とあの人の存在
「…まさか、こんないい出会いがあるなんて」
これで、私にも一応ツテというものができた。来た道を戻ると、風見さんを探した。風見さんは慌てて仕事へと向かう途中だった。私は後ろをこっそりついて行く。しかし、段々と人通りが多くなり、私はミスをしてしまった。目の前の女の人にぶつかってしまったのだ。
「 ちゃんと前向いて歩きなさいよ!ガキンチョ!」
「バーロー。お前が急に走り出すからだろ」
「私はあんたたち夫婦の邪魔しちゃいけないと思ってねぇ。ガキンチョ、怪我は?」
後ろから男の人がやって来て、女の人に注意すると、女の人は軽口を叩きながらも私の服の汚れを払ってくれる。……こりゃ尾行は無理か。私はニコッと笑い、首を振った。
「怪我がなくてよかった。ほら、園子!謝りなよ」
「………ごめん」
園子という女の人は、申し訳なさそうに顔をかく。私はニコッと笑った。
「しかし、お前こんなところで何してんだ? 学校は?」
男の人が私を上から下まで見てそう聞く。……今日は誤魔化すことが多いなぁ。
「最近引越しできたばっかりだから、学校はまだなの。お兄さんたちは学校?」
見たところ、彼らは同じような服を着ている。これが制服というやつか。私が尋ねると、長い髪の女の人は頷いた。
「でもね、今日は文化祭だから授業はないのよ」
文化祭?なんだろうそれは。だが、私はそのお姉さんから名前を聞かれたので、私は答えた。
「七種なずな。お姉さんたちは?」
「私は蘭。こっちのお姉さんは園子。そして、このお兄さんが……」
「このお姉さんの未来の旦那様!新一くんっていうのよ」
「「なっ!?」」
園子さんの言葉に真っ赤になる2人だが、思いっきり否定した。
「園子!なずなちゃんに変なこと教えるのやめてよ!!」
「お前、適当なこと言うなよ!!」
詰め寄られる2人にも園子さんは何処吹く風。ほほほっと優雅に笑った。
「あら~、私何かおかしい事言ったかしら?」
「もー!ごめんね、なずなちゃん」
私は蘭さんに笑いかけ、そして彼女に聞いた。
「ねぇ、文化祭って何??」
それを聞くと、蘭さんは丁寧に教えてくれた。自分たちの学校が主催する、学生達によるお祭りなのだと。お祭り!私が目を輝かせると、蘭さんは私に連れていってくれると約束してくれた。