第6章 私の初任務とあの人の存在
~別side~
「なんで新しい武器を使わないの?」
そう聞かれた瞬間、少しの動揺を自分の中に感じた。それを俺はすぐにふるい払い、再び目の前の戦闘に意識を戻す。目の前の少女はそんな俺を見てか、憂いげに微笑み、そして下ろしていたナイフを再び俺に向けた。
「やっぱりカルバドスは優しいね」
そう呟いて。…優しい?幾多の命を奪い、組織に身を捧げている俺が?どんなに生けるもの全てを慈しむ天使でも、俺にはそんな言葉をかけないだろう。それほどまでに、俺は様々な悪行を後悔することなく行ってきたのだ。少女は言う。
「ちゃんと手加減してくれてるんだもん」
俺は少女に向かって走り出した。これ以上、心を乱されたくなかったからだ。少女はそんな俺に顔色ひとつ変えず、口を開いた。
「来ると思った」
俺の視界が真っ暗になったのは、それから数秒後のことだった。