第6章 私の初任務とあの人の存在
~誰かside~
「あら」
きつい煙草の匂いが鼻につくのに気づき、ちらりと見ればやはりあいつの姿が。
「今日は珍しい日ですね。雨でも降るんじゃないですか?」
相変わらず見てて鬱陶しい程長い髪とニット帽を身にまとい、そいつは現れた。この女同様、あまり姿を見せないそいつは、僕の嫌味など気にもとめず口を開いた。
「………頭の回るガキだ」
「ふふっ。あなたも興味があるの?」
「あの使えない武器商人よりは、な」
僕は目線を2人に戻した。なずなとカルバドスは、まだ何かを話している。その間にも、隣の2人は話している。
「カルバドスが手こずっているのは初めて見たわ」
「手こずっているというより、あのガキが戦闘に持っていかないようにしてるんだろう。自分の土俵に誘導してやがる」
「ふふっ。自分の得意分野に持っていこうとしているの? そんなに甘い相手かしら?」
「さぁな。だが………」
そこで言葉を切るライ。俺はカルバドスから視線を逸らし、ライを見た。ベルモットも不思議そうにライを見ていた。
「だが、確実にあの武器商人をアホ面にさせる方法はある」