第6章 私の初任務とあの人の存在
バーボンの特訓が始まって数日後。ようやく、私は最初のウォーミングアップという筋トレの、終わりを迎えることが出来た。
「………では、次は………」
「ままー!!今日はもう無理ーむーりーーー!!」
私はスコッチの後ろに隠れながら、ブンブンと首を振った。スコッチ…助けて!!!!
「バ、バーボン。なずなもこう言ってるし……」
あ、ダメだ…。私はそう悟ったのは、ギロりと睨むバーボンに、臆するスコッチを見た時だった。私は他を探した。誰か…誰かいないかと。すると、そこに通りがかる影が。私はその人に向かって走っていった。
「ベルモットのお姉さん!!」
「あら、なずなじゃない」
相変わらずの綺麗なお姉さん。私は彼女に泣きついた。
「あらあら。お顔が汚れてるわよ」
お姉さんは綺麗なハンカチを取り出して、私の顔をそっと拭いた。甘くていい香りが鼻を掠める。
「《あなたの顔に、涙は似合わないわ。可愛い可愛い私のキティちゃん》」
そして、私の髪をそっと触れると、ベルモットは歩き始めた。
「今度、デートでもしましょうねなずな。バーボン、女に優しくしないと、いつか痛い目に合うわよ」
クスクスと笑うお姉さんの後に続くカルバドス。……こりゃ、あの人今日、荷物持ちだな。
「……………なずな……」
「ひっ…!?」
ボーッとその妖艶な後ろ姿を眺めていたら、低い声が真後ろに立つのがわかった。
「………はぁ……分かりました。今日はここまでにしましょう」
バーボンの言葉に、私はぱーっと笑顔になった。
「やったな!なずな!」
「うん!!」
テンションが上がって、スコッチとハイタッチをしていたら、バーボンが笑顔で呟いた。
「おや?そんな元気があるのでしたら、もうひとセットしましょ………」
「あー!疲れた!私、もう帰って寝る!!おやすみなさーい!!」
最後まで言い終わる前に、私はダッシュでその場を後にしたのだった。