第6章 私の初任務とあの人の存在
「えーっ!?!? すごーーい!!」
私は目の前の光景に、感嘆の声を出した。
ここは射撃訓練場。ここで射撃の特訓をしていた私だったが、同じく射撃の練習をしていたカルバドスの射撃に思わず見惚れてしまった。カルバドスの射撃の腕は見事なもので、結果は百発百中。私は興奮からかふぅーっと息を吐いた。
「すごいね。どうしたらそんなに上手くなるの??」
「別に大したことじゃないさ。ただ銃を真っ直ぐ持って、引き金を引くだけ…な、簡単だろ?」
私はふるふると首を振り、自分の的を指さした。私の打った弾はことごとく的を外している。悪ければ、天井までも貫いている。カルバドスはそれを見て苦笑いした。
「まぁ、なずなの場合、体がまだ小さいからな。お前はお前のペースでやればいいさ」
そして、私にひとつの銃を手渡した。それは私の手でも収まりきれるような銃だった。
「お前にやるよ。それ、子供でも使える改造版なんだがな。ちょうど余ってたから、プレゼントだ」
ちょっと早いクリスマスプレゼントだな。そう言うと、カルバドスはどこか用があるらしく、射撃場を後にした。
「……これ、カルバドスの手には小さすぎるよね?」
子供でも使える改造版と言ったが、どう見てもカルバドスが使えない大きさだ。恐らく、私の手に合うよう改良してくれたのだろう。
「………いい男だと言われるだけあるなぁ」
さすがベルモットお姉さんのお気に入りの1匹…。やることが違う。私はニコリと微笑んだ。
「ばーん」
私が打った球は今度は真っ直ぐ的の真ん中へと当たる。
「……さすが『武器商人』…」
私は思わず笑ってしまった。新しい銃は、期待以上だった。