第6章 私の初任務とあの人の存在
~誰かside~
「………殺し…ですか…」
昼。俺たち3人はジンに呼び出された。昨日の今日なので、どんな顔をすればいいかわからなかったが、ジンは気にしていないようだ。……やけにスッキリした顔をしてる。そんなことを思っていた時のことだった。
「ターゲットは、組織の金に手を出したネズミだ」
1枚の写真をこちらに寄越し、ジンはタバコの煙をひとつ吐いた。
「殺しはあのガキに殺らせる。てめぇらは、そいつを屋上に追い込め」
「あのガキ…? なずなですか?」
俺は動揺するのが分かった。昨日のあの子のやり取りが思い浮かぶ。あの綺麗に笑う彼女が……あの柔らかい小さな手が…血で汚れる?
「ジ、ジン! お前がどんだけあの子に期待してるか分からないが……流石にあの子に殺しは無理だと思うぜ?」
スコッチがそうジンに言った。ジンは、笑った。面白い冗談を言うな…と言うように。
「無理かどうかは自分の目で確かめるんだな」
できなかったら殺すだけだ。そう言うと、ジンはウォッカにドアを開けさせた。……話は終わりだと言いたげに。
「…そのガキに、殺しの技術は?」
今まで口を閉ざしていたライが、そうジンに問いかけた。ジンはいいやと言うと、俺を見た。
「バーボン、お前が教えろ。ガキは既にそこにいる」
俺はギロりとジンを睨んだ。ジンはニヤっと笑っている。
「仲良しこよしがお前のお好みなんだろ?」
得意分野じゃねぇか、とジンはさらに笑った。………なんだ、当てつけのつもりか。昨日のジンの行動が頭を過ぎる。ジンのお気に入りの子…だというあの噂もどうやら馬鹿にできないようだ。
「………ええ。得意分野です。では、そういうことですので、僕はここで失礼させていただきます」
そして、部屋を出ると、慌てた様子でスコッチが僕の後ろを付いてくる。
「…………いいのか?」
いいもなにも…従うしかないだろう!!俺はひとつ舌打ちをした。