第2章 義理の父親が姿を消しまして
それからの私は、トントン拍子だった。
あいつの知人は、私を身寄りのない子供たちが集まる養護施設へと連れていった。
「こんにちは。今日からここがあなたの家よ」
そうシスターは私を抱きしめてくれたし、周りの子供たちもよそ者の私を受け入れてくれた。あと数年したら、学校にも通わせてくれるそうだ。住む場所も、食べるものも困らない。あの小屋やあの男がなくても、私は生きていけそうだった。いや、誰の目から見ても、あの小屋で過ごした2年間よりも幸せで充実した環境だろう。しかし、私はあまりそこが好きになれなかった。毎日が退屈なのだ。退屈という言い方は間違いなのかもしれない。なにせ、私はその施設で最年少であり、私の周りには誰か必ずいたし、私を構いたがっていた子供たちでいっぱいだったから。でも、私は何より、自分の時間が過ごせないというのが苦痛で苦痛で仕方がなかった。
「…………なんでこうなったんだろ…」
施設に入って10日で、音をあげた私は隠れ場所になっていた施設の屋根で大きくため息をついた。これも全部あの人のせいだ。私を捨てるなら捨てるで、そのままでもよかったのに。全部が中途半端でイライラする。私はあの人の身勝手さに軽く舌打ちをした。施設に来てから猫ばかり被って大人しくしていたので、いらいらが溜まっていたのだ。
「逃げよっかな…」
そう呟きながら、私は横になった。下では、子供たちがキャッキャと遊んでいる。……何人かの子供たちが私を探す声も聞こえるが。