第5章 黒の組織の重要人物
鼻っから信用などしていなかった。するわけがない。いきなり、あなたを保護しにきました…なんてあるわけがない。しかも、相手は組織の幹部候補で、かつ接触がはやすぎることも引っかかる。偶然にしては出来すぎた。
「私のことまだ保護できないんでしょ?」
私は猫を被ってちょっと眉を下げた。物わかりのいい子を演じるなのは得意だ。私の言葉にハッとした顔をするバーボン。
「大丈夫。バーボンには迷惑かけないから」
でも、そのためにも私はどうしたらいいのか聞いとこうと思って。そこまで言って、私はアイスに目を向けた。………まぁ、本当は大体察してるけど。この人は私を利用しようと思って近づいてきたことなんて、最初から分かってた。まぁ、ジンに近い人物なんて早々いないからね。……私に取り入っても意味は無いと思うが。
「…………そうですね。今後あなたに気軽に接触できると都合がいいのですが」
バーボンが私にニコッと笑いかけた。私もニコッと笑った。
「分かった。気軽に話せる間柄になればいいんだね」
いい考えがあると私は頬杖をついて悪戯っぽく微笑んだ。バーボンは私を見てふふっと笑った。
「それは楽しみですね」