第5章 黒の組織の重要人物
~誰かside~
「………何? ジンのお気に入りが保護措置を?」
「はい」
電話の奥にいる上司が微かに笑っているのが分かった。
「…なるほど。それはまたとない好機だ」
名前、出生、ほぼ全てが謎に包まれているジンのお気に入りの子供がいる。その有名な噂は新人の俺の耳にも早く入った。なんでも、いつもジンの後ろにおり、過酷な任務も確実に成功して戻ってくるのだと。今の時点でその子供について分かっていることは、その子供が女だということだけだった。昨日、彼女から電話があるまでは。
「七種なずな…だったか。利用しない手はない。バーボン。上手く取り入れ」
以上だというように通話が切れた。
「………まだ子供だぞ…」
俺は電話を握る手に力がこもった。