第5章 黒の組織の重要人物
ピリリリリ…
「………え?」
私が絶望感に震えていた時、携帯音が鳴った。え、なんで?この携帯は私が死体から拝借したものだから、この着信はその人に対して…?あ!でも、サポートセンターという線もある。非通知って出てるから分かんないけど………んー…
「も、もしもし?」
私は意を決して携帯をとった。もし死体にかかってきたものだったら、間違い電話で通そう!すると、電話の主は男性のようだった。
「……もしもし。先程お電話をいただいたものですが…」
先程電話をいただいた…ということは、サポートセンターの方だ。私は慌てて、間違い電話だと言おうとした。
「保護措置を取られたいということでしたが…」
私はハッとした。あってた!やっぱりあってた!!!
「は、はい!あの…えっと……お願いしたいです」
ジーンと涙が出そうになる。
「あなたの携帯から位置情報を割り出しました。今から落ち合うことはできますか?」
やけに手馴れた様子の男。私はあ…と声を出した。
「あの…えっと…すみません。今はちょっと…」
というか、私に自由に外に出る機会なんてあるのか?…多分ないな。私はそう正直に言った。
「………なるほど。では、この携帯を連絡手段としましょう」
………それについても謝りたい。この携帯、死者の携帯なので、多分1ヶ月もてばいい方だ。
「………なるほど。では、あなたのお名前を伺っても?」
「あ…えっと………」
名前…名前かぁ。………どっちの名前を言おうか?どっちにしても、私の戸籍とかなさそうだしなぁ………んーーー
「七種なずなといいます」
結局、作りたてほやほやの名前を言うことにした。私はこの名前で生きていくことに決めた。
「……七種さんですね。では、できる限りその携帯を持ち歩いて下さい。その携帯を通じて連絡を取りますから」
どうやら、あちらでこの携帯を使えるようにしてくれるみたいだ。私は頷き、そして通話は切れた。
「……………なるようになった」
私は満面の笑みを浮かべた。