第5章 黒の組織の重要人物
私の計画、それはとある仕事から始まった。それはいつも通り、データを盗む仕事だった。いつも通りの手順でデータを盗み、さっさと逃げよう…そう思ったら、ふと目にとまったのはとある電話番号。
「………保護措置?」
どうやら悪い人を守ってくれる制度のようだ。……ふむ。この国にはそんな制度もあるのか。私はニヤリとした。その番号を覚え、パソコンを閉じた。データを消去するのも忘れずに。
「てことは、その保護措置とやらを探ってみれば、あのクソ親父の居場所も分かるかも?」
そう。最初はそれが目的だった。いくら調べても出てこない、クソ親父の情報。もしかしたら、思ってた以上にやばい仕事をしてるのかもしれない。最初はそれだけが目的で組織にいた。こんなところ、さっさと抜け出したかったが、クソ親父の顔に一発どころか顔が変形するくらい拳を叩き込みたかった。でも………
「……もう会えないかもしれないなぁ」
私はふぅっと息を吐いた。珍しく任務後、寝なかった。眠れなかったのだ。ウォッカの言葉が頭を反復して。
「私が…幹部に…」
ブルっと体を震わせる。無理…無理…絶対無理! 今でこそ、私はせいぜいやっても死体処理くらいで、殺しの仕事は請け負っていない。でも、幹部になったら嫌でもその仕事は回りこんでくる。さらに…さらに、だ。今でも私は敵が多い。年端もいかないガキの言うことを誰が聞く?絶対罠にハメられて殺されるのがオチだ。私は意を決して電話をかけた。
「…………はい、こちらサポートセンターです」
出てきたのは結構若い女性。…サポートセンター?サポートセンターって何?え、私間違えた??私は恐る恐る尋ねた。
「あのー………保護してもらえる電話はここですか??」
「はい??」
「あ、やっぱりいいです。間違えました」
私は慌てて電話を切った。……………間違えた。私はもう一度頭の中で確かめて、番号を打った。
「よしっ!これは絶対あってるはず!!」
「はい。こちらサポートセンターです。」
私は再び電話を切った。……………最悪。私、物覚えはいい方だと思ったのに…。また別の手を考えないといけない…そう思いながら私はため息をついた。