第5章 黒の組織の重要人物
「…七種なずな?」
「うん!!名前ないの不便でしょ? 主にウォッカが!!」
私はにこーっと笑った。七種なずな。これが私が即興で作った名前だった。昔なんかの本で見た単語を繋げただけの名前。
「名前なんざどうでもいい。くだらねぇこと考えてねぇで、仕事しろ」
私は頬を膨らませた。ウォッカが少し慌てて、チラッチラッとミラーで様子を見てくるので、私はジンの膝にそっと顎を乗せた。
「ジンは呼んでくれないの?」
「ガキで十分だ」
そっかぁ…。私が少ししゅんとなってると、
「あ、名前といえば、なずなにも幹部の話しが上がってること知って……うおっ!」
とウォッカが空気を変えようとしてくれたが、ジンが思いっきりシートを蹴ったせいでそれは叶わなかった。
「おめぇも無駄話してねぇで運転しろ」
「へ、へい!!すいやせんアニキ」
………最近、ウォッカの扱い雑だなぁ…。私は顔を上げた。
「幹部の話って? 私もウォッカたちみたいにお酒の名前貰えるの??」
「……………」
あ、ガン無視だ。私は諦めて、自分のシートに戻った。ぷくーっと頬を膨らませて、年相応の子供のように私は窓の外を見た。でも、その内心では……
……………やばいな。
めちゃめちゃ慌ててた。やばいやばいやばい。何幹部の話って…何それ!?そこまで深入りする気はないよほんと。嫌な汗が出てきそうになる。私は遠くで建設中の遊園地を見ながら、早く行動に移さければと心に決めた。