第5章 黒の組織の重要人物
はっ……はっ…はっ………。私は汗が染み込んだ服でさらに垂れてきた汗を拭いた。全身がベトベトする。隣にはいつものようにジンが寝ていた。任務のあとはいつもこうだ。私はシャワーを浴びようとベッドから出た。
「…………なんで今更夢に出てきたんだろ…」
ぼんやりとした頭で考える。冷たいシャワーで体を冷やしたけど、それでも不快感はとれなかった。
「悪い子だと言ってるのかな? いや、でもなぁ………」
恐らくもう彼の記憶の中に私はいないだろう。そういう私もまた、彼の顔が出てこなかった。夢の中では、変わらない表情とかいったけど、やっぱり顔は思い出さなかった。
「……………顔を殴ることもできやしない」
でも、シャワーから上がる頃には頭はスッキリとし、今日のことについて考えていた。切り替えの速さは私の長所だと思う。
「…………………ジン、まだ寝てるの?」
私は呆れた目線をジンに向けた。ジンは私が抜け出したあとも、布団でぐっすり夢の中。………まぁ起こしませんけど。1回起こそうとした時の悲劇を思い出し、私は苦笑いをした。
「今日は命懸けの任務ないといいなぁ」
私の願いも虚しく、昨日に引き続き今日も銃撃戦の中に放り込まれるのだった。