第4章 黒の組織にて
鬼ごっこは私の勝ち逃げだった。何故なら、私は小さい体を利用して、換気口から逃げ出したからだ。……死ぬかと思ったぁぁぁ!!
「……フンッ」
ジンは車に乗り込んできた私を鼻で笑い、車は発進した。
「……はい、言ってたデータ」
「よく取れたな」
私がジンにデータを渡すと、ウォッカが私に労いの言葉を投げた。私は運転席に顎を乗せ、ウォッカの首に手を回した。
「FBIが来た、知ってたでしょ?」
「ああ」
ウォッカの代わりにジンが答え、私ははぁーっと息を吐いた。つまり、私は試されてたってことか。
「やけにあっさりしてんな」
もっと喚くかと思ってたぜ、とウォッカが言うので、私は別にーと言った。喚いたって何も変わらないし。
「それより、早く寝たい」
と言い終わる前に、私の瞼は閉じられた。