第14章 季節外れのハロウィンパーティーは悪夢からの良心
「………ベルモットのお姉さん」
カルバドスを連れて行かせたあと、私は地上の様子を伺い、思わず呟いた。今、クソ親父がお姉さんの腹部を撃ったところだった。お姉さんが車の影に隠れる。ベルモットお姉さんの目がコナンへと向かうと、私は銃を構えた。
「ごめんね。でも……お姉さんが悪いんだよ」
私の友達に手を出そうとするから。そして、私は引き金を引いた。弾はベルモットお姉さんの銃に当たり、その衝撃で銃は弾け飛ぶ。その途端、その場にいた意識のある人間がこちらを凝視した。
「誰!?」
高い声ということは、FBIのお姉さんの声か。私は深く帽子を被る。どうせこの距離なんて、あの場ではあのクソ親父以外見えないだろうけど。こちらに気を取られた隙にベルモットお姉さんは車で逃走する。それを見て、私は銃を下ろした。
「………もういいか」
これで、私の役目は終わった。ベルモットお姉さんはもう勝手な行動は慎むだろうし、私の存在もクソ親父に意識させることもできた。それにFBIの女性も分かったことだろう…私は逃げる気はないということに。…うん、これで、邪魔なFBIを周りにチラつかせることもないだろう。
「私の邪魔だけはしないで欲しいよほんと」
そして、私はカルバドスとスコッチが待つ車へと急いだ。遠くでパトカーの音が聞こえる。違法捜査をしているクソ親父たちには、聞きたくないサイレン音だろう。私は微笑んだ。彼らは無事だろう。何故、ベルモットのお姉さんが彼らと接触を図ったのかなんて、知らなくていいことだ。私はどうせ、どちらの立場にもいないのだから。明日には普通の顔で彼らと顔を合わせるのだから。
欲しいものは手に入った。クソ親父に匹敵するようなスナイパーも、そのための武器商人も、私の手の中。あとは……そうだな。情報に長けてる人がいてくれたらいいんだけどね。