第14章 季節外れのハロウィンパーティーは悪夢からの良心
~誰かside~
赤井秀一により、両足を折られた俺は持っていた銃でこの世を去ろうとしていた。
「カルバドス」
だが、引き金を引く直前…柔らかな声が頭上から聞こえた。天使が迎えに来たのだろうか…。だがおかしい…俺は確実に地獄行きだと思うのだが…。顔を上げると、その天使は幼い少女の姿をしていた。……どうせなら、ベルモットみたいな天使がよかった…だが、俺はその姿を見て思わず笑みをこぼした。
「迎えに来たよ」
にこりと微笑むその姿に俺は目を奪われ、思考は停止する。俺に笑いかけるその顔は、このような場にそぐわず………今まで見てきたどんなものより綺麗だと思った。
「なずな…なんで……」
お前は今…パーティーにいるはずじゃ…俺の言葉を察したように、彼女は口を開いた。
「ベルモットのお姉さんが勝手な行動してたから気になって。付いてきてよかった」
銃を持っている俺の腕をそっと触れ、ほっとしたように笑う天使の姿をしたなずな。…………あぁ……俺の救いはとうに近くにいたのか…。
「先に車で待ってて。すぐ行くから」
鼻に仄かな甘い匂いがくすぐったかと思うと、頬に柔らかい感触が。俺は折れた足の熱が、顔まできたのかと思うほど、顔に熱がこもるのが分かった。そんな俺を髭の男が抱え上げた。