第14章 季節外れのハロウィンパーティーは悪夢からの良心
~誰かside~
「お姉さん、あまりカルバドスを働かせ過ぎないでね」
そう言うと、俺とベルモットに手を振る少女。…不思議な子だと思った。俺やベルモットに恐怖の欠片も見せず、むしろ子供らしさを見せる。その姿を見ると、まるで自分が普通の環境にいるようだと錯覚させる。
「貴方も騙されてしまうのかしら?」
俺が消えた後ろ姿を見ているのに気づき、ベルモットが口を開く。…なんの事だ…? こうやって、ベルモットはたまに不思議なことを口にした。今回も彼女の冗談だろうと、クスクスと笑う姿を見惚れていた。この女は今回俺を頼りにした…他の男ではなく…バーボンでもなく…俺を…!! この女は俺の物だ…そんな達成感が俺の中にはあり、これから起こることなんて、俺が彼女を手にした話として軽く考えていた。
「カルバドス…私を守ってちょうだいね」
そう言って、俺にキスをするこの女の香水の香りを鼻いっぱいに吸い込んでから、俺はどんどんベルモットという女に溺れていくのだった。
この女こそ、俺の天使だ…そう信じ込みながら。