第14章 季節外れのハロウィンパーティーは悪夢からの良心
「私の仔猫ちゃん」
たまに彼女は私のことをそう呼ぶ。冗談が好きな彼女のことだ…幹部名キティからそれがきているのかと思い、あまり気にしていなかった。
「なに? お姉さん」
言われるがまま、彼女の膝に座ると、香水の香りが鼻を擽った。…帰ったらシャワーを浴びないと怒られるな…私はそう思いながら笑みを浮かべた。ジンは彼女のことがあまり好きではなく、また鼻がよく効く彼には地雷の元だった。
「貴方にプレゼント」
いつの間にか後ろにはカルバドスがいた。彼は私にそれを渡すと、まるでお姉さんのナイトのように傍に立っていた。
「季節外れのハロウィンパーティー……面白そうな催しだね!!」
私は何も知らないふりをして、彼女にそう笑いかけた。お姉さんは私の頬を愛おしそうに撫でた。
「そう言うと思って、貴方のお友達にも送っておいたわ。楽しんでいらっしゃい」
私は彼女に微笑み、膝を降りた。そして、少しやつれた風に見えるカルバドスに声をかけた。
「カルバドス、ご飯食べてる? 私、なにか作ろうか…わっ!?」
ふわっと金色の髪が私に覆いかぶさった。そして、私の首筋にリップ音を立てる。
「私といるのに他の男を見るだなんて、嫉妬しちゃうじゃないキティ」
銀色の瞳が細めて私を見るお姉さんは、とても綺麗だと思った。お姉さんのこういう所が、男性を虜にするのだろう…。私は彼女の長い髪をひと房とり、キスを落とした。
「あまりにも太陽が眩しすぎて、見つめすぎると目が開けられなくなるからね」
こういったやり取りも日常的なものだった。彼女が微笑んで、私を離す。私は彼女の頭を撫でる。
「お姉さん、あまりカルバドスを働かせ過ぎないでね」
そう言うと、私は彼女とカルバドスに手を振り、その場を去るのだった。