第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた
~誰かside~
「仲直り出来た?」
誰かから奢ってもらったソフトクリームを沢山食べて満足気な様子のなずな。だが、彼女がご機嫌だったのはそれだけでは無かったようで、俺にそう尋ねた。
「……あぁ…!! なずなのおかげでな」
それに本当にゼロが凄いやつだってことも改めて感じた。……まんまと嵌められた俺とは全然違う…。
「よかった!! スコッチが嬉しそうで私も嬉しい!!」
つい自嘲気味になっていたが、なずなの声に思わず笑みがこぼれる。この子がいたから、今の俺がいる…そう思えた。不思議と、この子のために動ける自分がいる。なずなが眠たそうに大きく欠伸をした。
「眠いなら寝ていいぞ」
鏡越しで嬉しそうに笑うなずなは、今度はウトウトと目を瞑り、そのまま寝息を立てる。今日は本当に色々あったので、疲れたのだろう…。
「お疲れさん」
俺はその小さな俺の上司様にそう言葉を投げかけた。