第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた
「はいこれ」
私を抱き上げ、バーボンは私に携帯を手渡した。私はほっとしてそれをポケットの中へと入れる。
「…どうしてままがここに居るの?」
確か、バーボンは海外での任務のはず…すると、バーボンは内緒と悪戯っぽく微笑んだ。
「だけど、まぁ…あいつはすぐ取り乱すだろうからすぐバレちゃうな」
私は彼の言葉に首を傾げる。そして、バーボンがスーツ姿でいることに気づき、彼が今降谷零なのだと知る。だけど、降谷零が何故ここにいるのだろう…その私の疑問はすぐに解消されることになる。
「なずなくん!!」
風見さんが血相を抱えて現れたのだ。私は瞬時に風見さんが降谷零に連絡したのだと悟り、風見さんが公安であることを知る。…道理でなんかきっちりとしすぎた経歴だと思った。私は風見さんに手を伸ばした。
「風見お兄さんっ!!!!」
そして、今度は風見さんに抱きつく。よほど急いで駆けつけてくれたようで、風見さんは肩で息をしながら、それでも私を力強く抱きしめてくれる。
「よか…よかった!! 君に何かあったらかと思うと気が気じゃなかった…!!」
ただの顔見知り程度の少女にそこまで言ってくれるだなんて、風見さんはかなり正義感が強い人なのだと思った。私はありがとう…とお礼を言う。すると、風見さんから私を引き剥がすように、私を持ち上げた。
「随分仲がいいんだな…? お前が彼女と接触していただなんて初耳なんだが」
「い、いえっ!! そ、その…」
バーボンが少しムッとしたように風見さんを見た。私の耳に聞こえてきたのは、少し離れたところの家で起きている騒がしい音。それにより、FBIが突入したのだと知る。……さて、そろそろ撤退しないとな…そう思い、私がバーボンに下ろすように頼もうとした時…
「さて、行こうか」
そう言って、私を抱えてどこかへ行こうとするバーボン。私は首を傾げた。
「悪いが、君を人質に取らせてもらう。君に助けられた男をおびき出すために、ね」