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赤井さんちの一人娘

第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた


さて、困ったぞ…。私は物陰に隠れながらそう思った。部屋の扉が開かれ、外から男が私を探しに入ってくる。

「出てこい!! 今出てくれば痛いことはしない!!」

そして、近くのベッドの下を見る男。………ミスったなぁ…まさか男たちが入ったここが空き家で、かつ床が軋むとは思ってもみなかった。音で一瞬にして気づかれた私は、絶賛追いかけられごっこ中。

「…ちっ…どこに行きやがった…」

……だが、男たちが別々に分かれて私を探し始めたのは好都合だ。このまま1人ずつ……。そう思いスタンガンを構えた時…再度鍵が開く音が聞こえた。もう1人の男が合流しに来たのか…私が焦った時…入ってくるはずの男が目の前で倒れた。

「なずな」
「………まま…?」

聞き覚えのある声にそっと顔を覗かせると、そこに居たのは…バーボンだった。彼は私の顔を見ると微笑んで口を開いた。

「目を瞑って、10数えて。できるね?」

久しぶりの優しい声と私に向けられる優しい瞳…だけど、少し怖いと思った。私は言われるがまま、目を瞑り1から順にゆっくりと数え始めた。彼はいい子だ…そう言うのと同時に、男が彼に殴り掛かる声が聞こえ…そして、そこからは何も音が聞こえなくなった。

「……9……10……」

目を開けると、男たちの姿は消えていた。私に後ろ姿を見せるその人に私は再度呼びかけた。

「まま…?」
「…よく泣かないで頑張ったね。いい子だ」

遅れてごめんね…そう謝りながら、この美しい人は私を何事も無かったかのように抱きしめたのだった。
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