第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた
「…なるほどね…」
私は彼女の拘束と少女の拘束を解いた。少女は酷く怯えているようだったが、にこーっと笑いながら接すると、自分より下の子ということもあり簡単に警戒を解いてくれた。
「もうすぐ私の仲間達が来るわ。大丈夫」
女性の言葉に、私は腰を上げた。ならば私は早々にここから去らないといけないようだ。FBIと一緒にいると分かれば、それこそ問題だし。
「……待ちなさい!! 貴方さえ望むなら…保護だってできる!! シュウだって貴方を心配して…!!」
そう私を呼び止める女性に私は首を振った。
「私はそんなの望んでいない」
そもそも保護なんてされたら、自由がなくなるではないか。組織から逃げる生活なんて私はまっぴらごめんだ。それに……
「あの人がいる組織なんて、私は信用しない。私は1人で大丈夫」
クソ親父の名前が出たことで、少しきつい言い方になってしまい、目を大きくさせる女性。私は彼女にニコッと微笑んだ。
「でもね、こんな私でも手を貸してくれる人がいるの。お姉さんもその1人なんだって分かった。ありがとう」
「あ…貴方は…」
だけど…私の言葉に何かを言おうとした彼女をこの言葉で制する。彼女の情報はすでに私の手元にあり、彼女の過去もFBIに入った経緯も、そして彼女がこれから何を行動しようとしているかも知っていた。だから、私はこの言葉を口にした。
「『A secret makes a woman woman』」
女は秘密を着飾って美しくなる…ベルモットのお姉さんの口癖だ。私の腕を掴む女性…だが、私は彼女に何も言わせなかった。
「私の友達を巻き込まないで」
貴方の復讐は貴方自身の手だけで…姉が亡くなり傷心の…小さくなった彼女を…どうか巻き込まないで欲しい。
「じゃあ、またね」
私は彼女の頬にキスをひとつ落とし、駆け足で部屋を去った。FBIよりも先に携帯を取り戻すために。