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赤井さんちの一人娘

第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた


~誰かside~

「灰原さんっ!!」

トンッ…そう背を押された瞬間、私の横から伸びた手は私ではなく、彼女を捕らえた。その時、私はようやく…不審者は2人おり、かつその狙いは私だったのだと気づいた。

「なずなちゃん!」

吉田さんの泣き叫ぶ声がかつての自分と重なった。お姉ちゃん……震える唇で思わずそう呟く。

「灰原っ!! おい、灰原!! 何があった!?」

江戸川くんが私を揺さぶるまで、私は放心していたようだ。何故…何故私を庇って…!! 不意に思い浮かぶのは、バスジャックでの出来事。バスの外で私たちを待つ彼女が、私たちをガラスから守ってくれたときの姿だった。まだ幼い彼女はあの時も……なのに私は……っ!!!!

「……なずなさんが……私を庇って連れていかれた…」

乱れる息でようやくそう答えると、江戸川くんは車種やナンバー、男の特徴などを聞く。それらに答えると、その車を追うために走り出した。

「……おめぇは気づいていねぇかもしれないけどよ…なずなはお前のこと気にしていたぞ」

そう言い残して。………バカね…気づいていたわよ。

「彼女が私に気を使って、私から距離を取ろうとしていたことくらい…ね」
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