第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた
……変な視線を感じる…。私がそう感じたのは、風見さんと話していて少し経ったときのことだった。
「………?」
どうやら視線に敏感なコナンや灰原も気づき始めたようで、あたりの様子を伺っている。…2人が気づき始めたので、そろそろ動いた方が良さそうだ。
「……どうかしたのか…?」
私はぎゅっと風見さんの腕を握った。そして、耳を寄せるようにお願いする。
「……誰かね、ずっとこっちを見ているの…。右斜めにあるそこの木の影から…」
私の言葉にちらっと目線をやる風見さん。私が少し震えた声で…怖いよ…そう言うと、彼は私の頭を優しく撫でた。任せろ…そう言っているようだった。私は頷きながら、これで不審者が捕まれば歩美たちも満足するだろう…そう思いながら、彼が行動に移すのを待った。だが…
「待ちやがれ!!」
彼が立ち上がる前に不審者は逃走し、その後をコナンが追ってしまった。コナンが追ったことで、風見さんも動かざるを得なくなる。
「ここで待っていてくれ!!」
そう言うと、風見さんはコナンの後を追った。コナンが動いたということは…私と灰原はちらりと元太たちを見る。彼らは想像通り満面の笑みで顔を見合わせていた。
「よーし!! コナンに続いて俺達も……」
「だめよ」
「だめだよ」
思わず被る声に、私たちは顔を見合せた。やはり彼女は面倒みがいい性格のようだ。だが…私はコナンたちが消えた方と逆の方をちらりと見た。この場にいるのが私たちだけになったことで、不審者の狙いが分かったからだ。……いや、コナンたちが追っている奴も含めて、不審者たち…と言った方が正しいか…
「…だめよ。不審者と江戸川くんは大人に任せて、私たちは言われた通りここに……」
「灰原さんっ!!」
私はこちらに伸ばされた手から彼女を庇うため、思わず小さな背を突き飛ばした。
「なずなちゃん!」
歩美の悲鳴に近い叫びを聞きながら、強引に抱えられた体は、無理やり車の中に押し込められる。