第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた
「本当に何もされていないんだな?」
コナンにそう何度も聞かれ、私はその度に何度も頷いた。コナンは呆れたように、意地でも風見さんの手を離さない私を見た。
「……風見さんも小学生の膝枕で寝るなんて、不審者に間違えられても仕方がないよ」
「そ、そうだな…」
小学生にガチで怒られる大人の図だった。その隣で、歩美たちは誘拐犯じゃなかったことに肩を落としていた。
「…大体ね、いきなり誘拐犯だって飛びかかって、本当にそうだったらどうするつもりだったの。怪我させられるかもしれないのよ? もう少し考えて行動しなさい」
灰原も彼らを叱りつけ、ごめんなさい…とさらに落ち込む3人。案外、彼女も面倒みがいい方のようだ。
「それで? 風見さんはなんでなずなに声をかけたの?」
まだ不審者だと疑うコナンは、怪訝そうに彼にそう尋ねた。風見さんは私をチラリと見た。
「なずなくんと別れた後も、少し気になっていてね。最近物騒だし、つい見覚えのある子がいたから声をかけてしまったんだ」
あの後も気にしてくれていたのか…私は満面の笑みを浮かべた。やはり、この人と出会えていてよかったと思いながら。
「私は大丈夫だよ!! 皆がいるから学校も楽しいし、家もお手伝いが大変けど別に嫌じゃないよ」
そう言うと、風見さんは安堵したように私の頭を撫でた。
「そうか…君が嫌な思いをしていないなら良かった…」
義理人情に厚いタイプで、1度懐に入れた相手には世話を焼いてしまう…第一印象で思った通りの人だと思った。やはりこの人はいい人だ…もし私が彼を頼ったとしても、彼は自分の全てを使いそれを果たしてくれる…そんな確信めいたものを私は感じていた。