第12章 新たな転校生は波乱の幕開け
私はガウンを広げて待った…彼らが現れるのを…そして…
「っ!! 来たっ!!」
銃声と共にバスの後部のガラスが砕け…あのフードを被っている少女を抱きかかえながら、コナンが飛び出した。私は持っていたガウンで彼らを危機一髪で包み、同時にそれですっぽりと自分たちを覆った。同時にバスが爆発する。ガウンがガラスの破片などから私たちを守ってくれた。
「なずな!! 危ねぇだろ…!!」
そんな私をコナンは叱りつけたが、危ないことを真っ先にしていたコナンには言われたくない。それに…遠くで聴こえるサイレンに、思わず私は灰原の手を掴む。
「…っ…!!」
私が握ったことにより体が強ばる灰原だったが、それを気にしてはいられない。コナンとふたりで引っ張って、阿笠博士のところまで連れていく。するとパトカーから降りてきた警察の人が近付いて来たので、コナンはその人の名を呼んだ。
「高木刑事!子供たちを病院まで送って!事情聴取は僕1人で受けるから‼︎早く‼︎」
「あ、ああ」
コナンの剣幕に押される高木刑事は、女の子を抱きかかえた。そんな彼女に聞こえるように…コナンは囁いた。
「逃げるなよ…灰原。自分の運命からな…」
そして、次に私を見た彼は、私に高木刑事について行くように言った。私は首を振る。
「私…帰るね」
「あ、おいっ!!」
私はパトカーが集まるその場から急いで離れた。まずいまずいまずい…警察と一緒にいることが知れたら…始末されるのは私の方だ。
「ちょっと君っ!! 待ちなさい」
グイッと引っ張られる手に私は身体を震わせる。どうする…どうする……
「なずな」
不意に呼ばれた聞き覚えのある優しい声…。私がそちらを見ると、そこにいたのは髭が特徴的な男性だった。彼は警察なんか構わず、私の元へ来てひょいっと抱き抱えた。
「あ、あなたは…」
「この子の保護者です。この子はこちらで病院に連れていきますので」
そう言って、彼は私を抱えその場をあとにした。スコッチ…私はその名を呟きながら、温かいそのぬくもりにゆっくりと目を閉じて行った。