第12章 新たな転校生は波乱の幕開け
まぁ、何故私が折角出会えた宮野志保よりも、宿題の方に気を張っているかと言うと…それは私が休む少し前の出来事に遡る。
「スキー?」
そういえば最近寒くなってきたなぁと思っていたら、歩美たちが大きく頷いた。
「阿笠博士っていう人がね、スキーに連れていってくれるらしいんですよ!! 是非、七種さんも行きませんか?」
いつもは皆を諭す側の光彦が、興奮した様子でそう言った。スキーか…知識では知ってるんだけど、実際にするのは初めてだ。
「行こうぜ!! なずな、すーぐ帰っちゃってつまんねぇし!! 俺らが母ちゃんに許可とってやるからよ!! な、行こうぜ!!!!!!」
私の反応に元太が目を輝かせながら私を誘う。スキーという初めての経験に惹かれないといったら嘘になる。だが、今…宮野志保の行方を組織はヤケになって探している最中。ただでさえ、学校に行くことをよく思っていないジンだ。そんなことを言おうものなら…私は途端に海の藻屑だろう…。
「おいおい…なずなにも事情があんだから、無理意地すんなよ」
私が返事に躊躇するのを見て、コナンがそう皆を宥める。3人とも不服そうな顔をするが、素直にはーいと頷いた。
「…聞いてみるね!!」
私は彼らにそう告げ、その返事は保留のまま。そして、今日…ジンが帰ってくる。正直、宮野志保が捕まらない限り機嫌は良くならないだろう…。だが、交渉してみる価値はあると思いたい…。
「あ、おかえりジン…」
ドアが開き、私は満面の笑みで出迎えた……つもりだった。だが、それはビンの割れる音でかき消され、私はサーッと血の気が引いた。
「…………テメェ…さっさとシェリーを見つけてこい…じゃなきゃ殺す…」
何徹目なのか…そこには目をギラつかせたジンの姿があった。