第12章 新たな転校生は波乱の幕開け
灰原哀という存在を、私は取り敢えず黙っておこうと決めたのは、帰り道スコッチの車で帰っているときだった。
「へぇ!! この時期に転校生か!!」
スコッチは本当に嬉しそうに私の話を聞くなぁと思いながら、私はそろそろ安室透と彼を接触させてもいいような気がしていた。今は長期任務で不在の彼だったが、痺れをきらして直接乗り込んできそうだ。と考えたところで、まぁそれは後々セッティングするか…という結論に至る。その前に…と。
「その子と仲良くなれるといいな!!」
「…うーん…」
まずは灰原哀だ。彼女の私に対する反応がおかしいことにはすぐ気がついた。他の子と私に対する反応とでは、全く違っていたからだ。さて…私の背後にいるのが何かバレたのか…それとも秘密を共有しているということで警戒されているのか…どちらにしても今の関係性はあまり良くない。
「まぁ、無理に仲良くなろうとしなくてもいいんじゃなか? なずなとの相性もあるだろうし!!」
私の反応があまり良くなかったことから、何を察したスコッチが正反対のことを言った。…そっか、別に無理に良好な関係を保とうとしなくてもいいのか…。波風立たなければそれでいいのだ。その発想は無かったと私はポンっと手を叩いた。
「そうだね…!! うん…そうするよ…!!」
ありがとうスコッチ。やっぱり私はいい拾い物をした…そう思いながら、コロンっと寝転がった。それよりも、私は今日の宿題をちゃんと終わらせられるのか…それだけが心配だった。なぜなら…
「そんなことよりもスコッチ!! 今日はジンが帰ってくる日だから、宿題手伝ってぇ!!」
灰原哀よりも怖い存在が、私にはあるのだから。