第12章 新たな転校生は波乱の幕開け
「だから、こいつはそんなことしねぇって言ってんだろ」
途端に言い合いになる2人に、私は今気づいたようにポンっと手を叩いた。
「なるほど…!! つまり、灰原さんもお兄さんと同じってことなのね」
大丈夫、内緒にしておくから…そう言うと、灰原は呆れたようにため息をついた。私は何も知らない顔をして、首を傾げる。
「灰原さんも薬を飲まされた……ムグッ!!」
「そんな大声で言わないでよ…!! その様子じゃ知らなさそうね…。今後も詮索はなしよ…いいわね?」
口を強引に手で塞がれた私は、灰原からとてつもない威圧感に首を頷かせられる。その様子を見て、コナンおいおい…と声をかけた。
「貴方はこの子を信頼しているようだけれど、私は違うわ。今後一切、この子に何も言わないこと…いいわね…?」
私に何も情報を与えない…その点に関してはコナンも彼女に賛成のようだ。私も別に異論は無いので、手を大きく上にあげた。
「はーい」
「…別に貴方に言っているわけじゃないのだけど」
あまりの幼稚な行動に呆れ返る灰原。私はその姿勢を崩さずにこーっと笑う。
「私はあの件については何も聞かないし、何も言わない。これでいいんでしょ? はいっ!! この話はおーわりっ!! 私、灰原さんとお友達になりたいなぁ!! 教室に戻って、皆と話そう、ね!」
私は再度2人の手を取って、教室までの道へと急いだ。彼女に触れる際、まるで恐怖の対象のように彼女の体が震えていたのは…気付かないふりをした。